- BLACK THRUSH -


||| WORDS LOG |||

一方通行

あの子を好きな貴方がいて。


あの子を好きな貴方を好きな私がいて。


あの子を好きな貴方を好きな私を好きな誰かがいて。






想いは常に一方通行で
振り向いて貰えないまま諦める事もできずに。


上つ弓張

今夜もベランダで
地上に咲く星を見よう。
冷たく光る 色とりどりの星を。
あの中の一つに
貴方がいなくても。



呟く言葉も闇に吸い込まれていく。

それでも、構わない。

悲しい言葉は全部
今宵の弓張り月が受け止めてくれるから。


星空

吸い込まれそうな満天の星空を
見上げながら。
遠くにいる貴方を想う。

貴方は今、
この瞬間を

誰と過ごしているのだろう。

一年前の今日は私のそばにいて、
ずっと抱きしめていてくれたのに。
嫌いで別れたわけじゃなく、
ただ、独りにされる事に耐えられなかっただけなのに。


去年の私は、何と幸せだったのだろう。
一年後の今日もずっと一緒にいられると思っていた。
離れ離れになるなんて想像もしてなかった。


特別の日に
特別な人と過ごせること。
それがどんなに大切な事かも判らなかったなんて。
当たり前な事だと思っていたなんて。

今日のこの日を、
貴方が私以外の人と過ごすことが
こんなにも痛いなんて。

せめて今宵は貴方のために
満天の星空に想いを馳せて。



好きと云う言葉を
いくつ重ねれば愛と云う気持ちになるのだろう。
ただひたすら相手を想うことで満足していた頃には
味わうことの出来なかった悦びを、
貴方は与えてくれたけれど。



何もかも消えてしまった。



あれは所詮、泡沫の恋だったのだろう。
淡く儚い一夜の恋。
消えてしまってから気付いても遅かったのに。


行き止まり

好きで好きでしょうがないっていう気持ちを
初めて知った。
逢いたくて逢いたくてしょうがないっていう気持ちも
初めて知った。

ただ、
この気持ちは伝えられるわけがなく。
たとえ言ったところで、
貴方の困った顔しか思い浮かばなくて。


曖昧なままでいいから傍にいて?
貴方の気が向いた時だけでもいいから。

そう、思ってたのに。


声が聴きたくて。
顔が見たくて。
私に触れてもらいたくて。

冗談ですらも私には好きだなんて言ってくれない貴方は
もうきっと、二度と私を抱きしめてはくれないのね?


泣きベソ

好きだよって言ってくれた
貴方の言葉に。





もう少しだけ、しがみついててもいい?
それが優しい嘘だってことは判っていても。


雪の記憶

今サラ 言い訳なんてしないでよ。
今サラ 優しくされたって何の意味も無いのに。

何を言ったって無駄だから
引き止めたりなんか しないんだから。


だって、引き止めたって 行っちゃうんでしょ?


こんな時まで
優しくあろうとする貴方は
スキだけどキライ。

どうせなら冷たくしてくれたら良かったのに。
そしたら きっと こんなに泣かずにすんだのに。


横顔

初めて貴方を見たとき
心臓が止まるかと思った。

それくらいに綺麗だったから。

バスの中で、一人窓際に座って外を眺めながら
貴方は
涙を浮かべていた。

声も出さず
ただひっそりと。


そばに寄るのも躊躇うほどに。


まるで、誰も近寄るなとでも言っているかのように。


あの時貴方に何が起こったのかは知らないけれど
今、何も無かったかのように貴方が笑っているとしても
私が貴方を想う時に出てくるのは

暗い窓に映り込む
貴方の横顔。


紫陽花

消えてしまえば良いのにと思った。
纏わり付く雨も全て。

何もかも捨てられたらこんなにも痛くはないのだろう。

何もいらない。
何も欲しくはない。

貴方以外は、何も。

全ての関わりを絶ち切って
ただ
密やかに眠りにつこうか。
窓際に咲く
あの 白い紫陽花の下で。


宵待草

鳴らない電話を待つのは

酷く 気分が重い。

かけられないのか
かける気がないだけなのか



どちらともつかないまま
ずるずると引きずっているのは

貴方にも
私にも
良くないでしょう?


心刻む影

貴方との事を思い出す度に
フラッシュバックに身を刻まれる。

たとえそれが優しい思い出でも、
今思い出すなら心痛んで。

今にも引き裂かれんばかりの心をなだめるには
一体どうすればいいの?

忘れるには鮮やかすぎて
しまうには大きすぎて
背負っていくには重すぎる。



だからと言って
捨ててしまうには大切すぎるのに。


溜息

すれ違った瞬間。
貴方を見つけた瞬間。

貴方も私に気付いて 表情が変わる。

気付いてるくせに
気付かない振りをするのは
隣を歩く
その子の為なの?

何かがあったわけでもないのに
気付かない振りをするのは
私の目にまだ気持ちが出ているから?

貴方が何も言ってくれないから
私も何も言えなくて。

うつむいたまますれ違って。
何も言えないまますれ違って。

次にいつ逢えるのかわからないんだから
何か言えばいいのに

ああ

貴方が、雑踏の中に消える。
隣にいる誰かと一緒に。


ああ。


ああ。
ああ。


嘘笑い

好きで好きで好き過ぎて。
ココロが震えるほど。

焦がれる時間が長すぎるから
逢えたときには 何も言えなくて。

言えたとしても言わないでしょう。

私には私の
貴方には貴方の生活がもうあるから。

ただ
笑って、笑って、
中身のない話を口にするだけ。

本当はまだ こんなにもいとおしいのに。


居待月

答えなんかいらない。
曖昧なままで構わない。

つきあえないなんていう悲しい答えを聞くくらいなら
いっそこのまま。
何も言わないまま。


そばにいて欲しいだけ。
ただ、私のそばに。
同じ時間を共有したいだけ。

それ以上のことは今はまだ望んでいないのに。

受け入れてくれないなら
せめて突き放さないでいて欲しいのに。


存在

誰か 抱き締めて
私を 抱き締めて
今すぐ 抱き締めて


沈んで
沈んで
消えちゃいそうで


怖いの。



私が居るって事
私が要るって事
感じさせてくれるだけでもいいから

甘い感情なんかいらない
錯覚でもいいから


今はただ抱き締めて欲しい。


波打ち際

いつの頃からか、
私を呼ぶ声が聞こえる。


海が呼んでいるのか。
海の向こうにいる貴方が呼んでいるのか。



海が呼んでいるなら海に。
貴方が呼んでいるなら貴方に。

溶けて消えてしまえたらいいのに。


線香花火

駆け足で通り過ぎていった恋でした。


そう。
今この手に持っている線香花火のように。

火がつくとちりちりと丸くなって、

風が吹いては落ちて。
風が吹かなくても落ちて。

一瞬の
ほんの一瞬の恋だったけれど。

あの気持ちはたぶん本物でした。


心臓が締め付けられるような切なさも、
倒れんばかりの胸の鼓動も。




ああ、どうかあの激情を。
小娘の気の迷いだとは受け取らないで下さい。


砂時計

指の間を砂が零れ落ちていくように。
貴方との事が 私の中から消えていく。

少しずつ。
少しずつ。
でも 確実に。

最後の一粒が消え落ちる頃には
もう何も思い出さない。

願っても叶わないものなら
最初から欲しがらなければよかった。

失いたくなかったのに
欲しがってしまったから。

せめて この想いが一刻も早く
消えますように ... 。


陽炎

肌を刺す光の下、ただ延々と歩き続ける。

目的地も無いというのに。


私を助けてくれる人は 誰もいない。
影一つ 見当たらない。

延々と続く道をただひたすらに。


陽炎の向こう側には
逃げ水が。

近づけば逃げ、
近づけば逃げ、






近づけば逃げ、
近づけば逃げ。


二日月

一年振りに袖を通したコートの
ポケットに入れた手に何かが触る。


取り出してみたら、
小さな石のピアスだった。


「本物じゃなくてごめん」
照れ笑いした貴方が脳裏をよぎった。

そういえば
そんなこともあったっけ。
何か素直に嬉しくなって、
ちょっと笑えた。

そういえば
空の色を映し込んで蒼く煌めく
この小さな石は
私だけの空だったのに。
いつの間に忘れちゃってたんだろう。