- BLACK THRUSH -


||| WORDS LOG |||

雨夜

気まぐれに握った君の手が
あまりにも冷たかったから驚いた。


その手を温めるのが 私だけだといいな。

なんて

考えたりして。


臥待月

夜も更けた今、
私は貴方の腕の中にいる。

安心するのに落ち着かなくて
夢じゃないかと狼狽えたりして


やっと昇ってきた月を横目に見ながら
冷えた夜の音聴きながら。


二十三夜

貴方は気付いているのかしら。


道路脇の楓も
私の、貴方への想いも
色付き始めているという事に。


それが、十六夜も過ぎて
細くなっていくだけの月にかけるくらいの
虚ろな願いとは違うということに。


匂い

すれ違った瞬間
あの子から
貴方のニオイがした。

ただそれだけのことで
何でこんなに不安になるんだろう。

疑い出したら きりがないのに

あの子が
貴方に軽く触れただけで
もう ダメ 私
きっとすごい顔してる。

だってあの子からは
貴方のニオイが

貴方に恋して
貴方に触れて
貴方に触れられたニオイが。



とろとろに蕩けて

そのまま消えてしまいそうになった。



ただ、こうして二人で居るだけなのに
心地良い時間が私の中で流れていって。



愛しくて愛しくて
抱き締めた腕を解きたくなくて
危なく「好き」って言いそうになった。


奪取

目を奪って
唇を奪って
心を奪って

去っていった貴方。


忘れるなんて無理。
だけど


忘れられないのは私だけ


緋い氷

オレンジ色のトンネルが
無限に続いていくようなこの空間。

髪も
耳も
指も
息も
凍るくらいの外気に凍められるのは

私の
焦がれて死んだ想い。

誰にも見てもらえずに
誰にも気付いてもらえずに

凍って死んでいく。


凍って、
死んでいく。


雨月

明け方の空に流れ消える
流星群を見てたら

どうしても貴方に
逢いたくなって
逢いたくなって
逢いたくなって
逢いたくなって、

後から後から涙が溢れ出た。


闇に消える光の破片が
砕けて消える私の気持ちを見ているようで。




貴方に逢えないのは
別に今日に限ったことじゃないのに
何でこんなに逢いたいんだろう。

逢えないことが判っているから
なおさら涙が止まらなくて。


泣骸

真夜中に電話で
話してる間じゅう、

私が泣いている事
貴方は気付かない。

息を殺して
気持ちも殺して
ずたずたに引き裂かれてもなお

貴方の声を聴いていようとする私は
何て浅ましいのだろう。


十五夜

今夜は十五夜だから
いつもよりも、
月が近くに見える。

刻一刻と流れる雲に時折隠れながら
ゆるゆると震える満月も

明日には十六夜になるというのに。


月の滴だけが、
秋の夜空を濡らして消えていく。


代用品

私のこと
好きじゃないくせに

貴方のこと
嫌いじゃないからか

二人
密かに呼吸を合わせる

寂しさを埋めるたびに
空しさが増してゆくのに。


言霊

口をついて出るのは
魂のない言葉達。

貴方の話も
貴方とする話も
全て戯れ言。

本音を出して
心を曝け出して
やっぱりまた傷つくのなら

距離をおいて
心を隠して話すほうが マシだから

本気じゃないよ
傷ついてなんか いない

何度
本当にそうなればいいと思ったことだろう。


帰り道

坂を下りたら
角を曲がって上り道。

足元にはもう
落ちた枯葉が舞っていて
空には細い三日月がある。
立ち止まって
立ち止まって
何度も立ち止まって
月と自分を眺め見る。

此処にいるのに
遠くから見ている感覚が。

風にいたぶられる木々のざわめきが
余計な不安を煽るから。
何度も何度も立ち止まって。


抑望

好きじゃない
好きじゃない
好きじゃない

繰り返して口にするたびに
気付かされるのは

そんなにまでして
抑圧しなければいけない

貴方への想い。


樹氷

積もっては凍り
積もっては凍るこの想いは

日を増すごとに 大きくなって

月華にあたって輝くものの
日に当てるには儚さすぎて


白い影

雨のように絶え間なく降り落ちる雪が
私の影に降り注ぐ。

髪に落ちて
コートに積もって
辺りを白に 染めてゆく。

肌に落ちれば儚く消えるくせに
絶え間なく降り落ちるせいで
どんどん積もる。


この雪が溶けるときに
一緒に消えてしまえるならば
このままここに
留まり続けるのに。


恋じゃなくても

こんなに寒い日が続くと、
別れた貴方の温もりが恋しくなって。





いまさらかな。
わがままかな。






もう暖めてはくれないですか?


氷花

冴え冴えと
月下に横たわる白い花は

白く
白く
もっと白く

凍りつく。


氷花を溶くのは ―――― 。


失せモノ

本当に大切な事は
本当に大切な物は

いつも失ってから気付く。

カラダの真ん中に穴が開いて。
周りの温度が少し下がって。
いつも見ていた景色の色が消える。

空気みたいだったから
そんなにさり気なくいたから
いなくなるまで気付かなかった。

ホントにホントに大切だったのに。



すごく、
優しい気持ち。

自然に笑みがこぼれるんだね。

貴方のことを考えて
幸せ気分になった午後。

すごく、
自然な気持ち。

私、貴方のこと、好きだったんだ。


素直に、
受け止められる気がする。


この想いが
雪に埋もれて凍ってしまわないように、
両手に持って暖めていよう。

大切に、大切に。
口には出せないけど、大切な想いだから。